2.26.2013

Alone

バングラで工場を運営していて、暫く経つのだけれど、
最近日本本社の調子が悪く工場をやめることになった。でも工場を閉じるのではなく他の日系の会社に引き受けてもらうという流れだ。

会社に入って2年、直接バングラに送られて立ち上げから生産までを担当していたのだけれども、工場の身売りまで経験するとは思ってなかった。
でも、働いている人たちや、作り上げた組織はこのまま工場を閉じるこの2年が水の泡。それより今の会社より大きい会社に買ってもらい、生産量を上げればみんなにとっての利益になるからと思い、突然聞かされた生産停止から今日まで1ヶ月、いろんな会社の人と会い引き受ける会社と交渉していた。


そして今日、突然のストライキ。

今まで1年半、笑顔で挨拶していたあのワーカーさんたちが突然敵意をむき出しにして、仕事を投げ出し、「工場を閉めるつもりでしょ!じゃあ退職金を今払わなければ今の仕事をしない」と宣言。

どれだけ説明してもダメだった。
新しい会社になるのではなく、取締役が変わるだけで他の人員、制度は全て残る。それに加えて投資もしてくれるから工場にとっての利益になる。

不安に支配された彼/彼女たちには目先の退職金と、僕達に対する欺瞞、そして敵意に満ちていた。

僕は、何もすることができなかった。
ショックだったのが、昨日まで笑顔で接していた彼ら彼女がもう働かないと、今お金を払えと言ってくること。目の前の何かがガラガラと崩れ落ちるあの感覚。
今までやってきたすべてのことが水泡に帰す。2年間の無駄。
目先の退職金を口々に求める声。敵意の目線。理性をなくした顔。
場は紛糾した。
ショック状態の僕は、紛糾とはこのことを言うのだろうかとぼーっとした頭で考えた。
さらに人生で初めてストレスで胃が痛くなるという事態に。
その後の30分、僕はどうすることもできずオフィスの机に突っ伏した。

そんなことを言う彼らに対しても、僕の言うことを信じてくれないことにも大ショックだったし、すごくすごくむかついた。

そんなんやったらもうすべてを終わりにして、工場を閉めて、そして退職金を払ってバイバイしたらいいんじゃないかと思ったり。

でもそこでチャンネルが切り替わった。

1年半、彼らはしっかり仕事をしてくれた、でも今は敵意に満ちている。
どちらも本当の彼らの姿なんだろう。
つまり、前者の彼らも本当だと。
そう思うと彼らが愛らしく感じられたのだ。
良い方向に導いてあげたい。彼らの不安を取り除きたい。

そして思った、この二年間を無駄にはできないとも。
なんとかこの工場を他の会社に引き受けてもらう。それが全員のためだとも思った。
それは現状から考えて、すごく難しいことだとも思った。
でも、それをやらずして何をバングラにしにきたんだと。これこそ仕事だろと。

そこであるスタッフが言ってくれた。
「心配しないでください。私達が何とかします。僕はあなたと一緒に仕事をしたい。あなたがこの国にいる限り私はあなたを信じてついていきます」

彼らはそれぞれにワーカーたちに話をし、数人を説得してくれた。
ベンガル人は得てして天性のスピーチ力を持っている。僕には到底できないスピーチだった。

そして夜、受け入れ候補の会社の工場長が電話をくれた。
「おれが明日行って話したる。そのほうが信頼性あるやろ。」

久々に涙が出そうになった。

僕は何もできない。
でも周りの人たちに助けられて生きている。
彼らのために、彼らの幸せのためにも僕は仕事をしたいと思った。

そんな1日。

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